英での元ロシア2重スパイ暗殺未遂に端を発したロシアと欧米諸国の対立構図に危機感を覚える

英での元ロシア2重スパイ暗殺未遂に端を発したロシアと欧米諸国の対立構図に危機感を覚える

発端となった元ロシア軍2重スパイ暗殺未遂事件


3月4日 英ソールズベリーの商業施設のベンチで、元ロシア連邦軍参謀本部情報総局大佐のセルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリアさんが意識不明の重体で倒れているのが発見されました。

ソールズベリーはロンドンから西の約90kmの観光都市で、ソールズベリー近郊には有名なストーンヘンジの遺跡があります。

セルゲイ・スクリパリ氏の自宅はこの商業施設から1km程離れた場所にあり、娘のユリアさんはモスクワ在住で、父であるセルゲイ・スクリパリ氏を訪ねて英を訪れていた際に事件にあってしまいました。

英当局によると旧ソ連で開発された猛毒の神経剤『ノビチョク』が使用され、この『ノビチョク』はロシアが製造能力を保有している事からロシアの関与が疑われています。

3月30に時点で娘のユリアさんの意識が回復したと報道されていたので、容態の安定を待って英当局の捜査に協力する形になるでしょう。真相の究明が待たれます。


英当局はロシアの関与に言及


英当局はこの事件について『ロシアの責任である可能性が高い』と当初からロシアの関与を指摘していました。英メイ首相もロシアの国名をあげて非難し、英・ロシアの国際問題へと発展しました。

英からすれば自国内で猛毒の神経剤が使用され殺人未遂事件が起きたのです。事件の状況によっては他の一般市民にも被害が及んだ可能性もあり、看過できるような問題ではありません。

英サイドはこの暗殺未遂事件にからみ、英国内のロシア外交官23人を国外追放処分とし、ロシアを明確に非難する態度をとっています。

この英の動きに欧米諸国も同調し、140人以上のロシア外交官が欧米諸国から追放処分を受けています。

 

ロシアサイドもロシア国内の英・米の領事館を閉鎖し、英外交官を200人以上・米外交官を60人を追放しています。


ロシアと欧米諸国の対立構図


いよいよ英での元ロシア軍2重スパイ暗殺未遂事件に端を発したロシアと欧米諸国の対立が深まってきました。

元々ロシアはシリア問題やクリミア併合で欧米諸国と対立しており、またアメリカでのロシアゲート疑惑の深まりもあって、国際社会からの孤立を深めている印象でした。

見方を変えれば3月に行われたロシア大統領選挙で、プーチン大統領1強の信任選挙であるとの国内の批判をかわすため、国外に目を向けさせ、愛国心を煽るような諸外国との対立を演出しているのではとも考えられます。

しかし、英サイドからすれば自国内での猛毒の神経剤使用という、いわば英という国のメンツに泥をぬられるような事件を起こされたのです。

当然毅然とした態度で望まなければいけませんし、米や諸外国も英の態度に同調し、ロシアの国際社会からの孤立がより鮮明になっています。

今後ロシアの関与が決定的となるような証拠が出てくれば、ロシアの立場は非常に苦しいものになるのは間違いないでしょう。


ロシアでのワールドカップ開催が危ぶまれる事態になりかねない


2018年6月14日よりロシアでサッカーワールドカップが開催されます。ここでまず危惧されるのが英代表のロシアワールドカップ出場のボイコットでしょう。

捜査の進展で、ロシアの関与が明確となり、なんらかのさらなる外交措置がとられるような事態となった場合、英国内からもロシアワールドカップへの参加に対して疑問符がつく可能性もあります。

もちろんスポーツは国際政治情勢の影響を受けるべきではありませんが、選手はじめ多くの英サポーターもロシアを訪れる事になるので、英国民の安全が保証される状況ではないなら、英政府としても参加の是非について議論しなければならないでしょう。

仮に英がロシアワールドカップボイコットとなると、その流れに同調する国が出てきてもおかしくはないです。もちろんそういった事態にならない事を祈るばかりですが。


日本の外交戦略はどうでるべきか。ジャパンパッシングを回避せよ


安倍首相はロシアとの関係も重要視し、これまではロシアとの友好ムードを演出して宥和路線をとっていました。欧米のロシア外交官追放という明確な態度に対して、日本はまだアクションを起こしていません。

5月に安倍首相のロシア訪問もある中で、どういった対応をとるか政府も苦慮しているでしょう。本筋を言えば日本は日米同盟・日英同盟を結んでおり、外交上の関係も米英にかなり近い関係です。

見解はどうあれ、他国で猛毒神経剤を使用した殺人未遂事件に関与することが国際的に正当化される事はありえません。

ここでロシアに対して毅然とした外交態度をとれないなら、弱腰の2面外交と揶揄されるでしょう。そいった態度が国際社会で続くようだと”ジャパンパッシング”が再び国際社会で浸透してしまうという事を自覚すべきです。


安倍政権のぐらつきを国際社会は当然見抜いている


森友問題の一連の流れで、日本の中枢省庁である財務省が決済文書を改ざんしていたという、あってはならない出来事が日本で起きています。

この一連の問題で国会は空転、政権の求心力も大幅に低下し、安倍政権が盤石ではない事を内外に逆アピールする形となってしまいました。

国内政治のぐらつきを国際社会は当然見抜いているので、諸外国の日本への外交戦略重要性や優先順位は下がっていくでしょう。長く続きそうにない政権を誰も相手にはしません。

そういった意味でも、英での元ロシア軍スパイ暗殺未遂事件に対して、国際社会の中でどういった態度をとっていくのか重要となってきます。

一番やってはいけない、黙して何もせずだけはやめてもらいたいですね。まあ今のところ黙して何もせずになるような気しかしないのですが…..。


まとめ


ここ数ヶ月の国際社会の動きの中で、日本が取り残されている状態になりつつある事に対して、もっと危機感を持たなければならないでしょう。

国内政治が揺らいでいる中でも毅然とした態度を国際社会に示していかなければ”ジャパンパッシング”が再び巻き起こるでしょうね。