同一労働同一賃金の実現のために正社員の待遇を下げるという愚策

同一労働同一賃金の実現のために正社員の待遇を下げるという愚策

非正規雇用が爆発的に増えた1990年台後半から約20年。日本経済は庶民にとっては景気回復を実感できないまま、どこか漠然とした停滞が続いているように思います。

非正規雇用状態が常態化している方もいる中で、同一労働同一賃金の議論がここ10年ほどで活発になってきています。

安倍政権が今国会に提出した働き方改革関連法案の大きな柱である同一労働同一賃金の実現。みなさんの事業会社においても非正規雇用の方が働いている職場は多いでしょう。

で、非正規雇用の派遣社員やパートの方が業務に追われ懸命に対応している一方で、正社員はなあなあで仕事をし、正規雇用を笠に着て緊張感のかけらもない仕事をしているなんて職場も少なからず存在するでしょう。

まあそのあたりは企業側の労働に対する公平公正な評価でなんとでも対応は可能です。(緊張感のない正社員には職能ランクを下げて実質的な減給処分とするなど)

安倍政権が目指すのはあくまで、同一労働同一賃金に対して非正規雇用の待遇を上げていく方向性のものであって、正社員の待遇を下げて実現しても元も子もないのです。

先日、日本郵政が引っ越しを伴う異動のない一般職のうち5,000人を対象に段階的に最大で月2万7,000円の住居手当を廃止する方針を発表しました。

 

それは違うだろと思わず突っ込みたくなるような内容ですね(笑)

もちろん住居手当最大2万7,000円というのは、正社員側からしても大きいですし、日本郵政からしても抱える正社員の人数からすると、莫大な費用となっているのも理解できます。

ですが、一律に正社員のこういった月の手当を削減していくのは明らかに方向性が間違っています。日本郵政がどういった人事評価制度をとっているのかは解りませんが、労働の対価である賃金はその労働の質を公平公正に評価される事によって決められるべきです。

誤解してはいけないのが、同一労働同一賃金といっても同一労働の中に必ず個々人の「労働の質」の差があります。それを正しく評価して賃金に反映させるという原則を置き去りにして議論してはいけません。

そもそも正社員と非正規雇用の仕事の質・難易度・責任範囲を同等のレベルにするからこういった問題が出てくるのです。

もっと明確に正社員に対して厳しい「労働の質」を求め、一定レベルをクリアできている人材には一定の評価を、そうでない正社員には減給処分などを課して労働の質の差を賃金に反映させるべきです。

労働の質に対する評価が明確になされていれば非正規雇用から不満はさほど出ないでしょう。緊張感が欠落した正社員は全く評価されず、賃金も非正規雇用と変わらないレベルまで落とされているのであれば。

厳しいようですが、本来の労働に対する評価というのはそうあるべきです。もちろん公平公正な評価を下すために企業や管理者の人事評価に対する力量が求められるのですが。(基準が明確でないと評価に対しての不満が出てくる)

ですので、今回の日本郵政の正社員の待遇を一律に下げて、やもすれば同一労働同一賃金を達成しようとする方針(同一労働同一賃金が意識されているいないに関わらず)は愚策中の愚策ですね。

このような方針で経営を続けるのなら、正社員のモチベーションは下がる一方でしょう。どんなに努力して「労働の差」をアピールしても一律に手当を下げられてはモチベーションも上げようがないですよね。

日本郵政の同一労働同一賃金に対する方針が他の企業の意思決定に影響を及ぼさない事を願うばかりです。