ゴールド(金)は、古代から現代に至るまで「価値の保存手段」として人類に重宝されてきた特別な資産です。現代では、株や債券と並ぶ重要な投資対象として、多くの投資家に利用されています。
この記事では、ゴールドが投資先として注目される理由と、世界的に本格的な取引が始まった歴史的背景をわかりやすく解説します。
ゴールドの投資対象としての5つの優位性
① インフレ耐性と「価値の保存手段」
金は中央銀行が発行する通貨と違い、自由に増刷されることがないため、インフレによる資産価値の目減りから身を守る「実物資産」として注目されます。
たとえば、通貨の価値が下がっても金は価値を維持しやすく、インフレ時のヘッジ手段として非常に有効です。
② 地政学リスクに強い「無国籍資産」
金はどの国にも属さず、誰にでも価値が理解されるという特徴を持っています。戦争や政情不安など、有事の際には「安全資産」として世界中の投資家に買われる傾向があります。
③ 株式・債券と相関しにくい
金融資産と違って、金は独自の価格変動をするため、分散投資の観点から非常に有効です。特に株式市場が不安定になると、金が買われて価格が上昇する傾向が強まります。
④ 有事の金:危機に強い資産
リーマン・ショック(2008年)、コロナショック(2020年)など、世界的な危機の局面では金価格が急上昇してきました。こうした傾向から、「有事の金」とも呼ばれています。
⑤ 長期的な希少性と安定需要
地球上に存在する金の量は限られており、新たな採掘量も限界があります。その一方で、宝飾品、工業用途、中央銀行の外貨準備など、金への需要は常に安定して存在します。
1トロイオンス(troy ounce)あたりの米ドル価格(USD)100年チャートのリンクを貼っておきます。ご参考に。
ゴールドはインフレ時代のリスクヘッジ資産として、最も注目すべき投資対象の1つということになりますね。以下の記事も参考に。

ゴールドが本格的に世界で取引され始めた経緯
金が今のように「投資資産」として取引されるまでには、いくつかの重要な歴史的イベントが存在します。
● 古代~中世:金は貨幣そのもの
紀元前のエジプトやローマ帝国では、金はそのまま通貨として使用されていました。金貨は信頼性が高く、世界中で通用する価値あるものとして流通していました。
● 19世紀後半〜20世紀初頭:金本位制の時代
各国は、自国通貨の価値を金とリンクさせる「金本位制」を導入。通貨を金と交換可能にすることで、通貨の信認を担保していました。
● 1944年:ブレトン・ウッズ体制
第二次世界大戦後、米ドルを基軸通貨とし、1オンス=35ドルで金と交換できる仕組みが採用されました。各国はドルを保有することで、間接的に金を保有している状態となりました。
● 1971年:ニクソン・ショック(金とドルのリンク解除)
アメリカは金とドルの交換を一方的に停止。これにより金価格は自由に変動する市場商品となり、投資対象としての金取引が本格化します。
● 1970年代以降:金先物市場とETFの登場
1974年、米国で金の個人保有が再び合法化され、**COMEX(金先物市場)**が急拡大。さらに2003年には、金ETF(GLDなど)が登場し、誰でも手軽に金に投資できる時代が到来しました。
現在のゴールド市場の特徴
分類 | 内容 |
---|---|
主な取引所 | COMEX(米国)、LBMA(ロンドン)、上海金取引所など |
投資商品 | 現物金、金ETF、金CFD、金先物など |
価格要因 | 実需(宝飾・工業)、中央銀行の動向、米ドル、実質金利、地政学リスク |
通貨との関係 | 一般的にドル安で金高の傾向 |
今後の展望とまとめ
現在、インフレ圧力の高まりやドル離れの動き、中央銀行の金買い増加(特にBRICS諸国)などを背景に、ゴールドは長期的な上昇基調にあると見る専門家も多くいます。
「インフレや有事に強い」「ポートフォリオのリスク分散になる」「世界中で価値が認められている」ーーそういった金の本質的な価値は、今後の不確実な時代においてますます注目されていくでしょう。
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